ポーポーを食べてみた

 

1,幻の果物、ポーポーを求めて


先日、NATIONAL GEOGRAPHIC(ナショナルジオグラフィック)の記事でポーポーの記事を見かけました。

natgeo.nikkeibp.co.jp


ポーポーはいわゆるトロピカルフルーツの類で、甘くなめらかで濃厚な味わいから、「森のカスタードクリーム」とも呼ばれることがあるようです。
ただし、ほぼ流通しておらず、市場には出回っていません。
その収穫期は9月~10月末という短い期間のため、手に入れるなら今がチャンスです。

「忘れられた果物」…、食べてみたい…、みたくない…?
ということで、実食のレポートをしていこうと思います。

 

2,ポーポーは何処で手に入る?


ポーポーは北米原産のバンレイシ科の木で、その果実は楕円状で一本縦に線の入った形状と、オレンジ色の果肉の色からか、アケビガキとも呼ばれています。
実はポーポーの属するバンレイシ科には美味しい果物が多く、熱帯や亜熱帯域では栽培・食用となっています。
ただし、輸送性に欠けるため現地消費されるに留まり、日本で見かけられることはありません。

ポーポーはバンレイシ科の中では珍しく温帯域でも分布しているため、日本でも栽培は可能です。
しかし、「熟して木から落下したら食べ頃」で、「賞味期限は1~2日」「冷蔵庫で1週間」と、あっという間に腐るようです。「固い内に収穫すると追熟しない」という噂もあります。採れたらすぐ食べられる環境が無いと厳しいんだろうなあ…。
流通に乗らないのも納得できます。

だがしかし!!
こういう作物の場合……やっぱりメルカリで出品されている!!

 

画像


メルカリ、趣味の家庭菜園や農家の副業で、野菜や果物も売ってるんですよね。
消費者からオーダーが入って生産者が即発送が出来るネットフリマの形態は、ポーポーのように足の早い作物にぴったりです。
1kgあたり2000円前後が相場の様子。
その日落下したばかりのポーポーが出品されていたので購入しました。

ポーポーの発送元は、新潟、兵庫、長野、大阪など多種多様。
意外に涼しい地域でも栽培が可能みたいですね。
メルカリの発送元地域は絶対正しいとは言い切れないけれど。

 

そして、待つこと2日。
宅急便コンパクトの箱でポーポーが届きました。
……この時点でむせ返るような甘ったるい香りが強く漂っています。


画像

 

所用で数時間冷蔵庫に箱のまま突っ込んでおいたら、庫内がトロピカルな香りでいっぱいになってしまいました。これはよろしくない。。

というか、木から落ちたのが一昨日の夜、発送されたのが昨日、届いたのが今日。
ポーポーの賞味期限としては今日がギリギリなはず。
早急に味見をせねばなりません。

 

3,ポーポーを実食してみる



箱を開けると、爛熟しすぎたような果物の甘ったるい香りが広がります。
香りの方向性はパイナップルが一番近いかも。加えて、ドリアンともすこし似通った腐敗臭。トロピカルフルーツの類であることが伝わってきます。

 

画像

……箱の底面に接していたところが凹んでいる…。
指で押して少し凹むくらいが食べ頃という話も聞くので、完熟をかなり過ぎてるのかも…。
まずはアケビのような線に従って包丁を入れてみます。

 

画像


全然上手く切れませんね。
柔らかくてグジュグジュしている。
その上、包丁を邪魔する向きで大きな種が入っているので、アケビのようにはいかない。

 

画像
スプーンで果肉を掬って食べてみる。
口に含んで、最初に感じられるのは濃厚で強い甘み。
続いてわずかなえぐみが舌の上に残り、熟れ過ぎてすこし腐ったような甘ったるい独特な匂いが鼻に抜ける。若干青臭いかな。
すこしクセはあるけれど、素朴でなんだか懐かしい感じのする味です。
これを庭で拾って毎年家族で食べてたら、絶対思い出になっちゃうな。

ポーポーの味については、「バナナやパイナップルに似たトロピカルな味(①)」「バナナのようでもあり、マンゴーのようでもあり…(②)」といった品評がされています。
バナナもパイナップルもマンゴーも大分味の方向性が違うような気がします。
一体どういう味なのか全然想像がつかない…、と思っていたのですが…。

ポーポーを食べて鮮烈なのは、濃厚な甘みトロピカルな香りの2コンボです。
甘みについては、バナナの素朴な甘みを強くして、後味にマンゴーのコクとえぐみを足した感じです。なるほど、バナナのようであり、マンゴーのようでもあるのかもしれない。
トロピカルな香りはパイナップルに似ていますが、香りの強さは桁違いです。それが食べた瞬間に鼻に抜けるものだから、パイナップル味だと脳が誤認してもおかしくなさそう。ポーポーには酸味が無いので、味はパイナップルとは遠いと思います。

食感は「森のバター」と呼ばれるアボカドと比較すると、油分が少なく水分が多い印象。グジュグジュしているけど、水っぽくはなくジューシーで、アケビガキの名から連想する熟し切った柿っぽいそれ。
あ、でも柿よりは、油分っぽいクリーミーがあります。加えて、柔らかで水分が多いのでなめらかではありますが、卵の黄身のような粉っぽくざらつく食感が舌に感じられます。
果皮の近くは筋張っていて、スプーンで掬った後に筋が何本か取り残されました。

あと、種の周りがゼリー状になっている!?

 

種の周りをゼリー状の果肉がしっかりと包んでいる

これは知らなかった!完熟してるせい?柿やトマトでおなじみのニュルンとした食感!
アケビガキというネーミングはけっこう合っていると思う。

1個10㎝ほどの小さな果実でしたが、味が濃厚で香りもパワフルなので、満足感がとてもあります。
そのままだと頑張っても1日2個までかな。
厳重にジップロックの蓋を閉めて残りを冷蔵庫に戻しました。

 

4,ポーポーの美味しさをもっと引き出すには?


ポーポーは正直、甘みは強いものの単調で、独特な香りの主張が激しいです。
すこし味わいに変化をつけつつ、この香りを活かしてあげれば美味いんじゃないかと思う。

そういうわけで、まずはヨーグルトスムージーを作ってみました。

 

画像


ヨーグルト、氷、牛乳、ポーポー2個分の果肉、たまたまあったライムの汁をミキサーへ投入。
ヨーグルトやレモンの酸味で爽やかさを出しつつ、牛乳でクセの強さを丸め込んで、全体的に香りを薄める作戦です。

…微妙かもしれない。

ヨーグルトやライムの酸味で味に変化は出て、香りもマイルドになりました。
けれど、後味のえぐみと青臭さが却って引き立つ結果になっている。
ミキサーによって舌触りはなめらかになり、乳製品のクリーミーが追加されることによってカスタードクリーム感は増しました。生クリームと相性がよさそう。

…クセと青臭さ、加熱したらマシになるんだろうか…。。
クッキーやマフィンにポーポーを使うという実験もしてみたいですね。
ポーポーは水分が多いですが、裏ごしして煮詰めてピュレにすれば、お菓子への汎用性は上がりそうです。

まだポーポーは余っていますが、時間もないので残りはピュレにしてみようと思います。砂糖も追加すれば日持ちするはず。

 

5,ポーポーの食べ頃についての所見


購入したポーポーの中には奇跡的に追熟が進んでいないものもありました。

指で押すとちょっと凹む程度。これが本来の食べ頃なのかも。

綺麗な緑色でかため


割ってみると、最初に食べたものより断面がきれいで崩れていないことがわかります。

 

画像

 

スプーンで掬って食べてみたところ、最初に食べた物より熟しすぎて腐ったような香りの厳しさが薄く、えぐみも少なかったです。
若い実っぽい青臭さはありますが、えぐみや腐敗っぽい香りがないせいで、比較的爽やかな印象でした。

 

結論として、

ポーポーは食べ頃が命の果物

 

落下して1~2日が賞味期限とありましたが、2日後の実のほとんどでこれだけ追熟が進んでしまうなら、落下してすぐ食べた方がいいでしょう。
完熟を過ぎると爛熟した香りのクセが強くなります。食べ頃のものを迅速に入手することが、ポーポーを楽しむうえで不可欠です。

メルカリで夜に購入すると、必然的に発送は翌日になるので、近距離の県を選んで午前中に購入し、当日発送してもらうのが望ましいでしょう。

もしくは、おそらく木から落ちるのを待たずに、「輸送中に追熟が進むので固めの実を送ります」という出品者もメルカリにはいました。
追熟がちゃんと進むか不安ではありますが、熟しすぎるよりはその方が美味しい可能性もあるかもしれません。

ポーポーすこしクセが強いですが、素朴な味の面白い果物で、いい体験になったと思っています。
珍しい果物に興味がある方、ぜひ新鮮なポーポーをゲットして試食してみてください。
ちょっとした非日常感が味わえて、きっと楽しいはず。

 



―――――――――――――――—――
【参考文献】※2022年9月14日時

ポーポー - Wikipedia

忘れられた果物「ポーポー」とは? ほぼ流通せず | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト

ポポーはまずい?どんな味?おいしい品種・栄養・食べ方|毒性はない? | | お役立ち!季節の耳より情報局

幻の果物ポポーはまずい?実際に食べてみたので味の感想とお取り寄せ通販情報まとめ – ははらく子とたび